2年前の私には、なぜこの本を書けなかったのか

大人になりきれない女性の成長をやさしく応援する本
大人になりきれない女性の成長をやさしく応援する本

 

2年前の私には、なぜこの本を書けなかったのか

 

『大人になっても思春期な女子たち』の本文を読んでいただければわかりますが、“大人思春期女子”が向き合うべき課題は、“大人の女性”になるために自分の心を成熟させる”ということ。

 

そのためには、この本でお伝えしている「心の課題」に取り組むことが必要です。(本には、その課題に取り組むための心構えやワークも入れています)

 

しかし、2年前の私はちょうど自分の息子が“思春期ど真ん中”(しかも中二病!)。家庭内がバタバタしていて、とても“大人の思春期”について論じられる心境ではありませんでした。そのうえ、自分自身が”親密“の意味を見失っていた、という事情もありました。

 

この本で書いているのですが、“親密”の課題の中核にあるのが“恋愛”です。

 

当時、私は気づけば結婚してかれこれ15年。隣にいる夫は、気がつけば空気のような存在(失礼!)、というか「ザ・家族」という間柄。「恋愛ってなんぞや?」と考えれば考えるほど、遠いものに感じられていたのです。

 

そんな私の及び腰のせいもあり、この単行本の企画はうやむやになってしまいました。

 

根っこにある“心の成長をはかりたい”という願いを本にしたい!

 

そうして2年がたち、2020年の夏。世はコロナ騒動で大わらわ。

 

私も企業研修の仕事がゼロに近くなり、カウンセリングや執筆の仕事を細々と続けながら、のんびり過ごしていました。そうしたなか、青春出版社の石井さんから2年ぶりのメール。

 

「やっぱり“大人の思春期”の本、出しませんか? この本を待っている読者がいっぱいいると思うんです」

 

世の中には、いわゆる“ふつう”に振舞えないことにあせりを感じる女性が多く、そうした女性に『大人の思春期』というテーマが響くと思う、という石井さんのご指摘。

 

『なぜ人は“ふつう”になれないとあせるんだろう?』と考えると、そもそも『“ふつう”の定義がむずかしいせいでは?』とか、『周りから“ふつう”を押しつけられることへの抵抗?』とか思ったりします」

 

「ですが、根っこには『心の成長をはかりたい』という願いがあるのではないかな、と推察します」

 

”ふつう”を押しつけられたくない、でも「この生き方でいい」とも思えない

 

石井さんの言う“ふつう”とは、「20代には恋愛をして、アラサーになるころには結婚して家庭をもち、子どもを育てて……」といった多数派の女性の生き方のこと。

 

でも、人は“ふつう”を他人や世間から押しつけられると、抵抗したくなるものです。かといって、皆が皆「私はこの生き方でいい!」と確信できているわけでもない。

 

心の底では自分の本音を知り、心がどのような成長を望んでいるのか、知りたいと思っているのではないか――。編集者の石井さんは、そう考えてこの本の企画の再開を提案してくださったのです。

 

ちょうど私も、コロナ禍のひまな毎日の中で心理学の本を読み漁ったり、自分の来し方を振り返ったり、女性の生き方について考えたりしている時期でした。

 

2年前には書けそうもなかった”大人の思春期”というテーマについて、自分なりの考えが深まっていて、「石井さん、どうしてるのかな? 今なら“大人の思春期”について書けるかも」という気持ちになっていたタイミングだったのです。

 

そこからは、ほぼ毎週、石井さんとZOOMでの打ち合わせを続け、この本の骨子を固めていきました。そこからどのように「カウンセリング小説」という形に結実したのかについては、次の記事でお伝えしますね。

 

▶次の記事:『大人になっても思春期な女子たち』誕生秘話~その3:「カウンセリング小説」という形になるまで

 

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